
目 次
人は年をとればとるほど認知症になりやすく、85歳では4人に1人が認知症になっています。
高齢化社会から超高齢化社会と日本の高齢化はどんどん進んでいき、2020年には65歳以上の認知症患者が300万人を超すと推定されています。
若くても認知症を発症することがあり、65歳未満で発症する認知症を若年性認知症と言いますが、近年ではスマートホンに依存してしまうことで起こるスマホ認知症があります。
スマホ認知症は10代、20代、30代でも発症することがあり、若年性認知症の患者数は今後ますます増えていくと考えられています。
認知症の初期にみられる症状の一つに物忘れがありますが、この物忘れが正常な物忘れなのか、そうでない物忘れなのかをその違いを見分けることはなかなか難しく、重度の認知症になってようやく気がつくこともあります。
認知症は早期発見、早期治療でその進行を遅らせることができる効果もあるので、まずは物忘れが正常なのか、そうでないのか、その違いを判別する必要があります。
そこで今回は、加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い、物忘れを見分けるポイントや物忘れ以外の認知症の症状について解説していきます。
Sponsored Links
認知症と物忘れは違う
名前や物を記憶する能力は20代前半にピークに達して、徐々に減退していきますが、顔を認識、識別する能力は30代前半、集中力は40代前半、新しいことを学び、理解する能力は50歳前後と人間の脳は50歳ぐらいまで伸び続けます。
一般的には、30歳代から少しづつ脳の神経細胞が減少していく萎縮がはじまり、65歳くらいにはレントゲン写真を見ても明らかに委縮しているのがわかるようになります。
脳が萎縮することで、記憶力や判断力、理解力や適応力などに衰えがみえるようになり、脳の老化がはじまります。
脳の老化がはじまる時期には記憶力が低下していき「物忘れ」が多くなってきますが、この物忘れは認知症によるものではなく、加齢による老化が原因で自然なものです。
このように物忘れは、正常な物忘れである「加齢による物忘れ」と認知症の症状の一つで正常ではない「認知症による物忘れ」の2つがあります。
ここからは、それぞれの物忘れについてみていきます。
加齢による物忘れ
加齢による物忘れは脳の老化による物忘れで、忘れる度合は一部を忘れる程度で本人に自覚症状があり、進行性はないので、普通に日常生活をおくることができます。
例えば1週間前に買ったステーキ肉のことを忘れていたけれど、テレビの料理番組を見て買ったステーキ肉のことを思い出すなど、何かのヒントがあれば思い出すことができたり、うっかり約束している時間と曜日を忘れてしまったり、携帯電話をどこに置いたかを忘れてしまい探しているなどは加齢による物忘れです。
このように加齢による物忘れは、食事をしたこと自体は覚えていえるけれど、どのようなものを食べたのかという内容を覚えていないということで、食事をしたという行為そのものは覚えているということです。
認知症による物忘れ
認知症による物忘れは、病気などが原因で急激に脳の細胞が壊れてしまい、物事すべてを忘れてしまうので本人に自覚症状がなく、進行性があるので、徐々に日常生活がおくることができなくなってしまいます。
例えば、ついさっきご飯を食べているのに、ご飯を食べたこと自体を忘れてしまい、「ご飯、まだ?」と聞いてきたり、買い物に行ってきたのに買い物に行ったこと自体を忘れて、また買い物に行ってしまうなどがあります。
このように認知症による物忘れは、行為そのものを忘れてしまうということです。
加齢による物忘れか認知症による物忘れを見分けるポイント
認知症の初期症状に現れる物忘れは加齢による物忘れなのか、それとも認知症による物忘れなのかを見分けるのが難しく、見過ごしてしまうことがあります。
そこで、物忘れが加齢によるものか認知症によるものなのかを見分けるポイントは、以下の3点になります。
・物忘れが日常生活に支障をきたしているのか
・本人が忘れっぽくなっていることを自覚しているのか
・物忘れの範囲は経験したことの一部なのかそれとも全体なのか
このように加齢による物忘れは、日常生活は支障なくおくることができて、本人の自覚症状もあり、物忘れの範囲も経験の一部の場合ですが、認知症による物忘れは、物忘れの範囲が経験したこと全体になり、本人の自覚症状もなく、物忘れが日常生活に支障をきたしてしまいます。
Sponsored Links
物忘れ以外にもある認知症の症状
物忘れ以外にも認知症による症状に認知機能の障害があります。
認知機能とは失語、失認、失行、実行機能のことで、それぞれの特徴についてみていきます。
失語
失語とは脳の障害などにより言葉を忘れたり、正しく言えなかったり、話す言葉が理解できなかったり、話そうとしても言葉が出てこないことです。
例えば、メガネをみて、時計と言い間違えたり、車を運転していて「交差点を右に曲がって」と伝えて、「わかった」と返事をしているのにそのまま直進をしてしまうなどがあります。
失認
失認とは視覚や聴覚、触覚などの感覚は問題がないのに、見た物や触った物が何なのかがわからないという障害です。
失認には、視覚失認と身体失認にわけることができます。
視覚失認は、目で見るている人はわかるけれどそれが誰なのかがわからない。
身体失認は、身体にマヒなどがないのに身体部位の場所がわからないことで、例えば化粧をしているのに認識していない口には口紅を塗らないなどがあります。
失行
失行とは、手や指など身体は問題がないのに食事や文字を書くという動作が上手くできないという障害のことです。
例えば、タバコに火がつけられない、シャツを着ようとしたけれど、どうしたらいいのかわからなくなってしまうなどがあります。
実行機能
実行機能は思考や行動を制御する機能で、計画をたててその計画通りに物事を実行する機能のことですが、認知症になると計画通りに物事を実行することができなくなります。
例えば、焼きそばを作ろうとしたとします。
まずは、キャベツや玉ねぎ、肉などの具材を切り、次にフライパンに油を入れて切った具材を炒めて・・・となりますが、認知症になると正しい順序で物事を進めることができなくなり、気が向いた順に作業してしまいます。
まとめ
ここまで、加齢による物忘れと認知症による物忘れの違い、物忘れを見分けるポイントや物忘れ以外の認知症の症状について解説してきました。
同じものを何度も買ってきたり、ちぐはぐな身なりをするなど認知症による症状が現れているにも関わらず、近所の人に知られるのを恐れて隠そうとしたり、中には認知症を認めることが嫌で病院に連れて行こうとしない人もいます。
認知症は症状が軽いうちに適切な治療を受けると、薬で進行を遅らせることができたり、症状を改善できることもあります。
認知症の始まり方はさまざまあり、認知症による物忘れなのか、それとも加齢による物忘れなのかの区別がつきにくいですが、「ちょっとおかしい・・かな?」と違和感を感じたときには、早めに病院に行くようにして、早期発見、早期治療につなげるようにしてください。
今回は「認知症と物忘れの違い」について紹介してきましたが、
「認知症にならないためにできること」についても以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。
comment closed