認知症が起こす死亡事故件数は?新しい特約で救われる高齢運転者

目安時間:約 13分

先日、実家に帰ると、玄関で出かける父と会ったのですが、「今から免許の更新に行ってくる」と言って、高齢者講習終了証明書を見せてくれました。

 

80歳になったばかりの父ですが、耳が少し聞こえにくいとは言っているものの、認知症の症状もまだ現れておらず、身体の方は歯が無い以外はいたって健康なんですね。

 

とはいえ、もう80歳になっているので、そろそろ運転免許を自主返納してほしいと、私を含め家族は説得を続けているのですが、なかなか聞く耳をもってくれません。

 

ただ、高齢者講習終了証明書を持っているので、法律上、免許を更新するのは問題がなく、ただただ事故を起こさないようにと願うばかりなのです。。。

 

でも、もし事故を起こしてしまったときに認知症だと判断されたら、保険はでるのかとても気になり認知症の高齢者が運転していて起こす事故、事故を起こしたときの保険会社の対応などについて調べてみました。

 

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高齢運転者が起こした死亡事故の半数は認知症

まず、最初に驚いたのが、2017年に75歳以上の高齢運転者が起こした死亡事故418件の認知機能検査結果です。

 

75歳以上の高齢運転者が引き起こした死亡事故で、運転者の認知機能検査結果が第1分類(認知症のおそれ)、第2分類(認知機能低下のおそれ)の人の割合が約49%になっていて、認知機能の低下が死亡事故の発生に影響を及ぼしていると考えられています。

 

高齢運転者による死亡事故に係る分析

引用元URL;https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

 

認知機能検査結果についての分類は、

 

・第1分類=認知症のおそれがある人

・第2分類=認知機能が低下しているおそれがある人

・第3分類=認知機能が低下しているおそれがない人

 

の3つに分類され、第1分類に該当する人は医師の診断書の提出が必要になり、診断結果で認知症と診断された場合は、運転免許の停止、取消しの対象になります。

 

高齢運転者と死亡事故

2018年(平成30年)2月15日、警察庁交通局から発表された「平成29年における交通死亡事故の特徴等について」の資料の中に、「高齢運転者による死亡事故に係る分析について」という調査結果があったので調べてみました。

 

平成29年12月末の運転免許保有者数で算出した免許人口10万人当たりの死亡事故件数の平均は、75歳以上の高齢運転者で7.7件、75歳未満の運転者だと3.7件と75歳以上の高齢運転者が75歳未満の運転者の2倍以上の事故を起こしています。

 

また、80歳以上の高齢運転者は10.6件の事故を起こしていて、75歳以上の高齢運転者と併せると、18.4件になり75歳未満の運転者の約6倍の割合で事故を起こしていることになります。

 

引用元URL;https://www.npa.go.jp/toukei/koutuu48/H29siboubunnseki.pdf

 

高齢運転者の運転免許保有者数

内閣府が発表している「高齢の運転免許保有者の増加」についてみてみると、75歳以上で運転免許を保有している人は、2016年(平成28年)で513万人、2018年(平成30年)で570万人、2020年で600万人、2021年で613万人とその数は増加すると推計されています。

 

75歳以上の運転免許保有者数の推移

 

引用元URL

https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h29kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_01.html

 

 

高齢運転者が起こす死亡事故の原因

75歳以上の高齢運転者が起こす死亡事故の原因は、ハンドル操作の誤り、ブレーキとアクセルの踏み間違いなど、運転操作不適による事故が多くなっています。

 

また、事故を起こした状況別にみると、ガードレールやフェンスなどの防護柵、電柱や家屋の塀、分離帯に単独で衝突したり、畑や田んぼなどに単独で突っ込む事故を起こしています。

 

車対車の事故では、出会い頭や正面衝突が多く、車と人との事故では、横断中の歩行者との事故が多くなっています。

 

高齢運転者による事故事例

※内閣府 「特集 高齢者に係る交通事故防止 」より引用

https://www8.cao.go.jp/koutu/taisaku/h29kou_haku/zenbun/genkyo/feature/feature_01.html

 

 

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海外の高齢運転者の事故

世界的にみると日本は、高齢運転者による事故が圧倒的に少なく、自動車大国のアメリカでは、1年間に1,400万人の人が、65歳以上の高齢運転者が引き起こした事故にまきこまれています。

 

これは、運転免許を更新する期間が、日本の3年(優良だと5年)に比べて、海外では8年、15年と運転免許を更新する期間が長いので、その間に身体検査や運転適性試験も行なわれないため、高齢運転者による事故が多いのもうなづけます。

 

例えば、イギリスと比べると、高齢運転者の事故比率が日本だと24%ですが、イギリスでは51%と2倍以上の比率で高齢運転者の事故が発生しています。

 

海外の運転免許更新期間は?

運転免許を取得するには、日本では自動車学校に入学して学科講習、実技講習を受けて免許を取得することができますが、このスタイルはドイツで運転免許を取得する場合も同様になります。

 

また、アメリカ(州により違いはある)やイギリスでは、自分の車を持ち込んで実地講習を受けられたり、試験も受けることができ、助手席に運転免許を所持した人が同乗すれば、運転免許がなくても公道で運転することができるので、路上講習も練習できるようです。

 

フランスでは、民間の自動車学校で運転講習を受けた後、地元警察で実地試験を受けると免許を取得することができます。

 

気になる運転免許の更新期間ですが、ドイツは運転免許の更新期限が”無期限”でしたが、EU基準に従って2013年から更新期限が15年に変更されました。

 

アメリカはほとんどの州で16歳から運転免許を取得することができ、更新期限は州によりことなりますがニューヨーク州で8年という期間が設定されています。

 

イギリスでは運転免許の更新期限は10年で70歳までは有効だが、70歳以降は3年ごとに運転に支障ないなどの自己申告が必要になります。

 

驚くことにフランスやベルギーでは、運転免許の更新期限が無期限に設定されています。

 

車社会が爆発的に進んでいる中国では、60歳を超えると毎年身体検査を受ける必要があり、70歳になると運転免許が取り消しになるようです。

 

認知症で死亡事故!困らないための保険が登場!!

シニアと車海外に比べて日本は、免許更新期間が3年(優良だと5年)と世界の中でも更新期間は短く、高齢運転者に対しては運転免許の自主返納を促したり、高齢者講習では認知症検査を行うなど、世界の中でも厳しい対策がとられています。

 

 

自動車の安全装置の向上などにより死亡事故を起こす確率が下がっているようですが、やはり気になるのは事故を起こしたときの保険会社の対応です。

 

今の自動車保険では、心神喪失などが確認された場合は、本人には責任能力がない、つまり無責任能力者として扱われるので保険会社は損害賠償責任を負わないとされていて、保険の支払いを拒否されてしまいます。

 

支払いを拒否した保険会社に代わって損害賠償責任を問われるのが、事故を起こした家族などの監督義務者になります。

 

これは、民法第713条に「精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。」と定められていて、民法第714条には、「その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。」とも定められています。

 

万が一、死亡事故を起こしてしまい認知症による心神喪失状態だと判断されると、保険会社は支払いを拒否するので、監督義務者である家族がその賠償責任を負うことになってしまいます。

 

また、監督義務者である家族がいない場合は、被害者が救済されないことにもなってしまいます。

 

自動車保険業界に新たな希望が

2019年1月に「心神喪失等による事故の被害者救済費用特約」がついた自動車保険が、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社から提供されることになりました。

 

この特約は、運転していて事故を起こした場合、認知症と判断されると無責任能力者になり、賠償責任は家族である監督義務者になりますが、監督義務者がいない、もしくは監督義務者に責任がないと判断されたときに保険会社が損害賠償金を支払ってくれます。

 

今回の特約は、運転していた人の責任能力の有る無し、家族である監督義務者の責任の有無に関係なく、被害者に対して迅速な対応をしてくれるので、被害者にとっても有益な内容になっています。

 

また、今回の特約には、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社ともに、対物賠償で「電車等運行不能賠償補償」も追加されています。

 

これは、踏切内で止まってしまい、列車の運行を妨げたことで代替輸送でバスを使うなど費用が発生したときに補償してくれる内容になります。

 

これらの特約は、三井住友海上火災保険株式会社、あいおいニッセイ同和損害保険株式会社以外の保険会社も追随してくるといわれているので、加入している保険会社や代理店に問い合わせてみてください。

 

まとめ

ここまで、認知症の高齢者が運転していて起こす事故、海外の高齢運転者事情、事故をおこしたときの保険会社の対応などについてみてきました。

 

高齢運転者が起こす死亡事故の半分は、認知症の疑いがあると推測されています。

 

自動車の安全装置の開発が進み、事故を起こしにくくはなっているとはいえ、認知症の疑いがある高齢運転者が死亡事故を起こすリスクは高いのが現状です。

 

本当なら、運転免許を自主返納して、公共交通を利用して病院や買い物などの移動するのが一番ですが、地方などでは公共交通機関が行き届かない地域もあり、病院や買い物など不便なことから、車の運転を続けざるを得ないという現実もあります。

 

万が一に備えて、2019年1月から提供される新しい特約がついた自動車保険に乗り換えるのも安心できる方法ではないでしょうか。

 

認知症は特別な病気ではありません。

 

あなたの大切な人を守るために、認知症の正しい知識を学ぶことは大切です。

 

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