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今は元気だけれどいつかは必ずやってくる認知症。
私も40代半ばを過ぎたころから小さな文字が見えにくくなる老眼になり、髪の毛も白いものが増えてきて、ゆっくりながら自分の身体も老いてきているのだなぁと感じるようになりました。
老化による認知症も突然やってはきません。
「同じ話を繰り返すようになった・・・」
「テレビをぼんやりと眺めているだけで、外へ出かけなくなった・・・」
「冷蔵庫に同じものをたくさん買い込むようになった・・・」
など、いつもとは違う ”ちょっとおかしい?” という兆しがあり、ゆっくりとそして確実にボケてきます。
症状がひどくなると、10分前にごはんを食べているにも関わらず、食べたことも忘れて、「ごはん、まだ?」と言うようになったり、大事な財布が見つからなくて、探しまわった挙句に「誰かが盗んだ」と言ってみたり、トイレの場所がわからなくなり廊下でオシッコをしてしまったりといろんなことが起こります。
そんなことがあるたびに、ついイライラしてあたってしまうことがあります。
認知症ケアの基本は、「本人の尊厳を大切にして、怒ったり叱ったりせずにやさしく寄り添って対応する」ことですが・・・
そんなのムリ! ムリ!!
認知症の人には、そうして対応したほうがいいのは頭ではわかっていても、いざとなるとそれができないですよね。
先日、NHKのガッテン!というテレビをみていたら、暴言を吐いたり、歩き回るという認知症の人が、接し方を変えることで意思疎通ができるほど劇的に改善される可能性があると放送していました。
その接し方のカギは、アイコンタクトとユマニチュードという介護メソッドです。
2年前に脳梗塞で倒れた母親の認知症の症状もこれからゆっくり進んでいくことになるので、そのときにイライラせずに接することができるように、認知症について、認知症の症状、認知症の疑似体験、認知症の人にイライラせずに対応できる裏技について解説していきます。
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認知症とは
ひと昔前には、「痴呆症」と呼ばれていましたが、今では「認知症」という言葉が一般的です。
そもそも認知症という言葉は、病気の名前ではなく、さまざまな原因で脳細胞が死んでしまうことで、神経や身体の働きが悪くなったりして、生活をするのに支障がでている状態のことを言います。
認知症の状態を引き起こす原因は大きくわけて2つあります。
変性疾患
変性疾患は脳の細胞がゆっくりと死んでいく病気で、アルツハイマー病、前頭・側頭型認知症、レビュー小体病などがこれにあたります。
主な認知症の種類別割合では、アルツハイマー病が全体の67.6%を占め、レビュー小体病が4.3%で、これら2つを足すと全体の70%を超えてしまいます。
アルツハイマー病は女性に多くみられ、最近のことを忘れる、判断力が低下するなどの症状がみられます。
また、レビュー小体病は、幻想や錯覚があったり、手が震えたり、すくみ足などのパーキンソン症状などがみられます。
脳血管性認知症
認知症を引き起こすもう一つの原因は脳血管性認知症です。
脳梗塞や脳出血、脳動脈硬化やくも膜下出血などの脳の血管の病気が原因で脳の神経細胞に酸素が行きわたらなくなり、その部分の神経細胞が死んでしまい、神経のネットワークが壊れてしまうことで認知症の状態になってしまいます。
主な認知症の種類別割合で脳血管性認知症は19.5%を占めていて、アルツハイマー病に次いで多くなっています。
脳血管性認知症は、女性よりも男性のほうが多く発症していて、高血圧や糖尿病、喫煙など生活習慣病によって多く発症しています。
認知症の症状
認知症の症状は大きくわけて、記憶などの認知機能障害と行動異常や精神症状の2つにわけることができます。
認知症の症状は、もの忘れと徘徊などが一般的だと思われていますが、これらの症状以外にもさまざまな症状があります。
それらの症状を知っておくことで、少しでも早く認知症に気づくことができます。
ここからは、記憶などの認知機能障害と行動異常や精神症状の症状についてくわしくみていきます。
記憶の認知機能障害
記憶の認知機能障害は、いわゆるもの忘れです。
例えば、食器棚に下着を入れていたり、ガスコンロに鍋をかけたままにしたり、同じものを何度も買ってきたり、昔のはなしを繰り返したり、財布や鍵を置いた場所がわからない、何度も行ったことのある娘の家に行けなくなる、言葉の理解ができないなどがあります。
記憶の認知機能障害は、記憶力の低下によるもの忘れを含め、方向感覚の低下による失認、理解力や判断力の低下による失行、言葉が理解できないなどの失語の症状があります。
行動異常と精神症状
認知症による行動異常と精神症状にみられる障害は、暴言や暴力、徘徊や行方不明、幻想や幻視になります。
また、行動異常による障害のひとつに万引きといった法に触れるようなことを起こすこともあります。
これらの症状が長期にわたって持続した場合、家で介護をし続けることがむずかしくなってしまいます。
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認知症の疑似体験
認知症になると、ものの名前がわからなくなる、時間の感覚がなくなる、空間認識ができない、記憶がなくなる、視界がゆがんでものの見え方が変わるなどの症状があらわれます。
これらの症状は認知症になった当事者にしかわからなく、介護している立場からはどのように写っているいるのかよくわかりません。
近年では、VR(バーチャルリアリティー)の技術を使った映像と音で、認知症の人の世界を疑似体験できるようになりました。
日本では、一般の人が認知症の疑似体験ができる機会は少なく、介護職員の研修などに使われているのが実情です。
一方、海外ではアメリカのアトランタで認知症の人の世界を疑似体験できるツアーがあります。
このツアーは心理学者のPK・ベビルさんが研究を重ねて開発したツアーで、特殊なゴーグルを目に装着し、手には分厚い手袋を装着して疑似体験をします。
これまで、20年間で300万人の人が体験をしていて、中にはキレてしまう人や泣き出してしまう人もいたようです。
このような体験は、認知症の人がどのように感じているのかなど、認知症の人に共感することで、今後の介護につながるヒントを見つけることができます。
イライラせずに対応できる裏技
認知症の人に対してイライラしてしまうのは、「どうして服が着れないの?」、「どうして昔の話ばかりを繰り返すの?」、「どうしてトイレの場所がわからないの?」など、普通にできるはずのことができなくなってしまい、そのことに対してイライラしてしまいます。
認知症の疑似体験をすると、どうして服が着れないのか、どうしてトイレの場所がわからないのかなどの疑問を少し解消できるのかもしれません。
疑似体験をすることで認知症の人の行動や言動が理解できるようになるので、接し方も変わり、介護の負担も少し抑えることにもつながります。
とはいえ、認知症の疑似体験をする機会はごくまれで限られた人しか体験することができません。
そこで、今日からでもできるイライラせずに対応できる裏技をお伝えしていきますね。
アイコンタクト
一つ目はアイコンタクトです。
認知症の人の視野は狭くなってなっているので、誰が介護をしているのか見えていなかったり、手が急に顔に近づいてきて驚いたりすることがあり、奇声をあげたり嫌がったりします。
実際に父親の介護をしていた娘さんが、アイコタクトを意識して声掛けを続けたところ、意思疎通ができなかった父親と意思疎通ができるようになっています。
最初は目を合わせることが恥ずかしくてしっかりと父親の目を見ることができなかったそうですが、正面から顔を近づけ視線を合わせて声掛けを続けていくうちに、まばたきでうなづき視線を送ってくれるようになったそうです。
認知症の人は視覚が変化していることがあるので正面から顔を近づけて視線を合わせることはとても大切です。
ユマニチュード
ユマニチュードはフランス発の介護メソッドで、パリの病院で2005年にユマニチュードを取り入れたところ、3年で攻撃的な行動を抑える向精神薬の使用量が88%も減らすことができたそうです。
日本の福岡市でも2年前からユマニチュードを導入したところ、行動、心理症状の攻撃的な行為が30%減ったそうです。
具体的なユマニチュード介護メソッドはというと、
・目をみて話す(アイコンタクト)
・ていねいにおじぎをしない
・ほどよい距離感を保たない
・テキパキしない
・余計なことはしゃべる
・間違いをなおさない
の6点になります。
実際にする方法はというと、認知症の人の正面に立ち、ほどよい距離を保ちながら顔の高さを合わせて目をみながら笑顔でゆっくりを近づいて、包み込むようにやさしく触れて下から支えるような感じで接するようにします。
このように接することで認知症の人は恐怖感、嫌悪感を抱かずに安心することができ、介護が楽になっていきます。
認知症と物忘れの違いについてもコチラの記事ににまとめてあるので参考にどうぞ。
まとめ
ここまで、認知症について、認知症の症状、認知症の疑似体験、認知症の人にイライラせずに対応できる裏技について解説してきました。
治ることがない認知症によるボケと生真面目にまっすぐ向き合うのではなく、ふりまわされながらもなるべくゆっくりと気楽に接してみるようにしてみてはいかがでしょうか。
認知症の人にイライラせずに対応できる裏技を使うことで、気持ちも身体もラクになると思いますので参考にしてみてください。
実際の放送の内容を見てみたい方はコチラをクリック↓ ↓ ↓ ↓ ↓
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