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厚生労働省が行った研究で認知症を発症している高齢者人口の推移によると、2000年は156万人、2010年では226万人、2020年には292万人まで増えると予想されています。
参照元URL;https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/detail_recog.html
認知症を発症する原因は、脳の神経細胞が徐々に減少していくことで発症するアルツハイマー型認知症や脳の血管が詰まったり破れたりする脳梗塞や脳出血などにより脳の神経細胞が障害を受けることで発症する血管性認知症が多数を占めています。
脳の神経細胞が減少したり、脳梗塞や脳出血などは高齢者に多いと思われがちですが、近年では18歳から44歳までに発症する認知症を若年期認知症、45歳から64歳までに発症する認知症を初老期認知症と呼ばれていて、認知症が若年化している傾向があります。
このように、認知症は高齢者に限って発症するということではなく、若い人にも発症する可能性があります。
認知症の初期にあらわれる症状の一つによく言われているのが、「物忘れ」ですが、物忘れ以外にも初期にあらわれる症状があり、認知症かどうかを見分けることは難しいです。
そこでまず、認知症かどうかを見分けるために認知症の初期にあらわれる症状にどんな症状があるのか?について調べてみました。
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認知症の初期にあらわれる症状
認知症の初期にあらわれる症状は、物忘れや理解力の低下、判断力や集中力の低下、認知・認識する機能の低下や精神的な変化などがあります。
わかりやすく具体例を少し交えながらみていきます。
物忘れ
・つい、さっき言ったことが思い出せない
・冷蔵庫にたくさんある食品を繰り返し買ってくる
・財布や鍵を置いた場所がわからなくなる
・子供の頃の話ばかりをするようになる
・自分の記憶が絶対であると信じている
・日付や季節感があいまいになる
理解力の低下
・会話している言葉が理解ができない
・お金の計算ができなくなり、小銭があってもお札で支払いをするようになる
・思い込みが激しく、間違った知識を平気で話す
判断力や集中力の低下
・テレビを観てるのではなく、眺めているようになる
・信号機の色の判断ができなくなる
・ちぐはぐな服装をするようになる
・好きだった趣味を途中でやめてしまう
認知・認識する機能の低下
・くわえているタバコに火をつけることができない
・ズボンやシャツを着るのに時間がかかるようになる
・作る料理のレパートリーが減り、限られたメニューしか作らなくなる
・何度も行ったことがあるスーパーに行こうとして道に迷ってしまう
・いつもなにか食べている
・食べ方が以前より汚くなった
・自分が常に正しいと思っている
・お風呂にあまり入らないようになる
精神的な変化
・人づきあいを避けるようになり、何事にも無関心になる
・感情の起伏が激しくなり、怒りっぽくなる
・暴言や暴力をするようにななる
・病院の先生をお父さんだと思っている妄想がある
・寝言でどなったり、手足を振りまわすなどの寝ぼけた症状がある
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認知症の初期症状を簡単チェック
認知症の初期にあらわれる症状の具体例をみてきましたが、認知症かどうかの判断が難しいときは、医療機関で認知症の診断に広く利用されている「長谷川式簡易知能評価スケール」で認知症かどうかの判断をすることができます。
長谷川式簡易知能評価スケールは、精神科医の長谷川和夫先生によって1974年に開発され、その後何度か一部を改訂しながら現在でも医療機関で利用されています。
長谷川式簡易知能評価スケールというのは、年齢はいくつか?、今日が何年何月何日なのか?何曜日なのか?、指定した数字や言葉を繰り返し言うなど、記憶や計算、見当識などの質問をしてその結果を点数化して、認知症の判断に使われます。
30点満点で、20点以下は認知症、21点以上は非認知症と判断していますが、この結果が全てではないので、気になったときは病院などに行って、検査や診断を受けるようにしてください。
また、この長谷川式認知症スケールは、医療機関に行かなくても自宅でもできるような簡易的なものですので、長谷川式簡易知能評価スケールと利用するときの注意点を記載したものを用意しましたので、気になった方は実際にやってみてください。
⇒ 【利用するときの注意点】改訂 長谷川式簡易知能評価スケール(HDS-R)
認知症の症状が初期のときの接し方
どんなに元気でも年をとると人は、ごく自然にボケていき、やがて認知症になります。
現代の医療では認知症は治すことは難しく、薬で認知症の進行を遅らせているのが現状です。
認知症になると、普通に会話ができなくなったり、すぐに忘れたり、繰り返し同じことを言ったりするなど、介護している側がイライラさせられたり、腹が立つこともあります。
介護に終わりはないと言われていて、イライラしたり、腹立たしく過ごすことは介護者にとっても苦痛でしかないです。
そこで、認知症の人に対してイライラせずに、ゆるくスローな気持ちで楽に接しられないか?調べてみました。
すぐ忘れることを忘れない
認知症の人には記憶の障害があるので、すぐに物事を忘れてしまいます。
そのことに対していちいち腹を立てて、認知症の人にあたってしまうと、忘れている本人は不安と混乱に陥るので、そんなときは「また、出た、出た・・・」と思って対応してみましょう。
ふりまわされてみる
人が約束を守らなかったり、同じ話を何度も繰り返されると、ウンザリするのが普通ですが、認知症の人にはこの普通なことが通用しません。
認知症の人が取る行動は本人にとって普通の状態なので、周りの人はそれが当たり前で普通なことだと理解し、接することで気持ちの持ちようも変わってきます。
繰り返し話すは親身に聞き流す
認知症になると、新しく起こった出来事などを記憶することができないので、昔、元気に働いていたころの自慢話や「ご飯はまだなの?」、「薬は飲んだっけ?」など何度も同じことを話してきます。
聞かされるほうは、何度も聞いているので、ついイライラしたり、腹が立ってしまいます。
本当はきちんと聞いてあげるのがいいのですが、そんなこともできないので、繰り返す話は親身に聞いているかのように、微笑んだりうなづいてあげたりしながら聞き流すようにしてください。
話している本人は、聞いてくれて、そのことに対して反応してもらえるだけで落ち着きますので。
ドロボー扱いは一緒に騒ぐ
認知症になると、財布や鍵、携帯電話などを置いた場所を忘れてしまい、探しても見つからないときは盗られたと騒ぎ、探し回ることがあります。
自分が置いた場所を忘れているにも関わず、探し回って見つからないと最後に「盗られた!!」と言い出し、一番身近な人に疑いの目をむけてきます。
そんなときは、一緒に探してあげるフリをして、こっそりその場所に探している物を置いて、本人が見つけられるようにしてあげ、見つかったときには「良かったね」と一緒に喜んであげるのがおすすめです。
まとめ
認知症の初期の症状にどのような症状があるかを知ることで、認知症になっているのかそうでないかの判断ができます。
早期診断、早期治療は、本人にとっても周りの介護者にとっても症状を改善するキッカケにもつながります。
母の言動や行動が変わってきた・・・もしかしたら認知症では?と疑ってみて、早めに気づいてあげるのはとても大切です。
認知症は特別な病気ではありませんが、「認知症はどこで治療するのかわからない・・」、「認知症の人への対応がわからない・・」というときは、認知症の正しい知識が学べる「認知症対策マニュアル」を参考にしてみてくださいね。
今回は「認知症の初期にあらわれる症状と接し方」について紹介してきましたが、
「認知症と物忘れの違い」についても以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。
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