
先日、実家で敷地内同居をしている義弟から、「母が認知症かもしれない」という連絡があり、話を聞いてみると・・・
買い物に出かけた母は途中で財布を義弟に渡しているのに、自分が持っていると思い込んでいたようで、帰宅後に財布が無くなったと大騒ぎになったのです。
出かけるときに下駄箱の上に置いたはずなのに・・・と言いながら、最後には義弟が盗ったのではと言いだしてしまいました。
この話を聞いていると、認知症を発症したかのように感じたのですが、それ以外は全然問題がなく、生年月日を聞いてもきちんと答えるし、会話をしていても少しも違和感を感じないのです。
父はというと、時間さえあればテレビを観ているいるのですが、その様子を見ていると、テレビを観ているのではなく、ただ眺めているだけのようにもみえたり、怒りっぽくなっているなど軽度認知症障害かな?と感じることもあります。
朝と夜は妹夫婦が様子を見てくれているので安心なのですが、昼間は父と母の二人だけなので、お互いが認知症になってしまうと、老老介護から認認介護になってしまいます。
認認介護の状態になるとどうなっていくのかが気になったので調べてみました。
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老老介護と違う認認介護とは?
老老介護とは、高齢者が高齢者を介護することで、夫婦や親子、兄弟などさまざまなケースがあります。
老老介護に対して、認認介護とは、認知症になった高齢者が認知症の高齢者を介護することです。
公的年金と介護保険、どちらも基本的には65歳にならないと支給されないし、利用もできません。
一般的には65歳以上の人が高齢者と呼ばれて、高齢者だけの世帯も年々増えています。
平成29年の国民生活調査によると、65歳以上の人は3519万5千人となっていて、その家族形態でもっとも多いのが夫婦のみの世帯で1416万6千人と全体の40.3%を占めています。
※推計数の単位は千人です。
平成29年国民生活基礎調査を参考に作成
参考元; https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa17/dl/10.pdf
高齢者だけの世帯が増えている一方、認知症患者も増えていくと予想されていて、2012年には462万人と7人に1人だったのが、2020年には600万人と5人に1人になるとする推計データがあります。
※推計数の単位は千人です。
内閣府平成29年度版高齢社会白書より引用
引用元URL
⇒ http://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2017/html/gaiyou/s1_2_3.html
認認介護になる原因と事件
認認介護になる原因は、核家族化と医療の進歩が考えられていて、認認介護が原因でさまざまな事件も起きています。
認認介護になる原因と認認介護が引き起こしている事件などをとおして、認認介護の現状をみていきます。
核家族化
核家族化が進み、さらに大都市、都市部に人口が集中していき、地方は過疎化して、老老介護が増え認認介護も増えてきています。
ひと昔前までは長男は親と同居することが当たり前で、私の親も同じように考えていました。
私自身もそうですが、近年では親と子供が別々に暮らす核家族が増えてきていて、年老いた親だけの世帯が増えてきていて、高齢者のどちらかに介護が必要になったときは、どちらかが介護をする老老介護が増えてきています。
老老介護の生活をしていくうちに、どちらかが認知症を発症して、やがて二人ともが認知症になり、認認介護の状態になってしまいます。
医療の進歩
医療技術の向上によって人の寿命が長くなったのも認認介護につながる原因の一つになります。
2017年の厚生労働省の調査によると、日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳と過去最高を更新していて、世界的にみても女性は世界第2位、男性は世界第3位になっていて、日本人が長生きしていることがわかります。
平均寿命が延びたことで、高齢同士の夫婦や高齢の親と高齢の子供、高齢の兄弟というケースが増えて、高齢者が高齢者を介護する老老介護の状態になっています。
また、平均寿命と健康寿命の差が多きくなるほど、認知症を発症するリスクが高まるので、認認介護が増えてくることにつながります。
健康寿命とは、病院にかからず、介護も受けず、健康上問題がない状態で心身ともに自立した生活ができている期間のことです。
厚生労働省の調査、研究によると、2010年の平均寿命と健康寿命の差は、男性で9.13年、女性で12.68年になっています。
引用元URL;https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf
認認介護が引き起こす事件
認認介護の世帯でも、さまざまな事件が起きています。
2013年8月12日、東京の民家に住む男性87歳、妻78歳が熱中症で倒れているのが見つかり、妻78歳が死亡。
87歳の男性は認知症になっていて、介護をしていた78歳の妻も亡くなる10日前に認知症と診断されていて、認認介護の状況で起きた事件です。
また、富山県では仲がよいことで知られていた夫婦の夫が認知症になって、介護をしていた妻もやがて認知症になり、症状はどんどん進行してき、曜日や日時すらわからなくなってしまい、症状が悪くなった妻は、オムツを替えるのを嫌がる夫を叩き続けて、死なせてしまいました。
夫を死なせてしまった妻は、夫を叩いたことをまったく覚えていなくて、なぜ夫が亡くなったのかも理解できていない状態だったといいます。
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認認介護の問題点
認認介護の問題点は、症状の度合いによって違ってきます。
認知症が初期の段階だと、同じことを何度も話す、直近に起こった出来事を忘れるなどの物忘れ、財布や鍵を盗まれたなど物を盗まれたなどの妄想、趣味や日々行ってきたことへの無関心などの症状があります。
この段階では、食事を作らない、用意しないなどにより栄養不足になって命を維持できななくなる、料理をしていてガスコンロの火を消し忘れて火災を起こすなどの問題が考えられます。
中期の段階になると、夜間に出歩くなどの徘徊や買い物や食事など家事の手順がわからなったり、入浴や着替えができなくなる、トイレの場所がわからなくなりところかまわずにオシッコをする、失禁する症状があり、不衛生な状況にもなります。
この段階まできてしまうと、徘徊をしていて事故に巻き込まれる、排泄の介助をいやがる夫や妻に暴力を振るうなどの虐待などの問題が考えられます。
後期の段階になると、家族の顔がわからなくなる、表情がなくなり会話もできなくなる、寝たきりになるなどの症状があります。
寝たきりになると、尿意や便意を伝えることもできなくなり放尿が起こったり、食事を摂らないことにより衰弱して孤独死にいたるなど死に直面する問題が考えられます。
認認介護の対策
認認介護の対策としては、認知症の初期の段階であれば、ご近所さんとのコミュニケーションをとりながら見守る、役所に定期的に訪問してもらう、IT機器を使ったサービスを利用する、1週間に1度食材を配達してくれる定期訪問サービスを利用するなどして地域で見守ることができます。
しかし、認知症はゆっくりながら確実に症状は悪くなっていくので、中期、後期の段階になると認知症同士で生活を続けることが難しくなってしまいます。
そんなときは老人ホームなどの介護施設に入所するしかありません。
何らかの理由で親の介護をすることができない子供さんもたくさんいるので、認知症になる前、正常な判断ができるあいだに親と認知症になったときにはどうするのかなど親の考えなどを聞いておくことも大切です。
また、不安を感じたら、介護サービスを受けているのならケアマネージャーに相談して個別の対応をとってもらうこともできますし、介護サービスを受けていなくても近くの地域包括支援センターに相談してみるのも前段階として有効な対策になります。
まとめ
介護は正常な人にとってもとても負担が大きく、一人でする介護も出来ることが限られてしまいます。
食事や身の回りの世話をする、病院への送迎をする、ケアマネージャーと相談をするなど、家族それぞれができることを分担して、出来ないことは自治体などに支援を要請する、国の介護保険サービスを利用するなどしてください。
認認介護、老老介護に限らず、介護をする介護者も共倒れにならないように、早めに状況を把握して予想できるリスクをできるだけ排除して、使えるサービスはどんどん使って後手にならないようにすることが重要です。
今回は「老老介護と認認介護」について紹介してきましたが、
「認知症になった親の財産管理」についても以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。
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