
介護はある日、突然、訪れます。
実際、私の母親は旅行先のホテルで倒れ、脳梗塞が原因で要介護状態になってしまいました。
両親は今も元気だから介護はまだまだ先と思っているかもしれないでしょうが、徐々に身体能力は落ちていき、介護が必要になります。
そんなときに、介護が必要になる年齢、介護にかかる費用などが気になるのではないでしょうか。
事前に要介護になる平均的な年齢、介護にかかる平均的な費用を知っておくことで、来るべき両親の介護の準備が出来るようになります。
この記事では、要介護が必要になる年齢や原因、介護にかかる費用などについて詳しく解説していますので、親の介護を考えはじめたときの参考にしてみてください。
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日本の平均寿命と健康寿命
2017年の調査になりますが、日本人の平均寿命は女性が87.26歳、男性が81.09歳で、男女ともに記録を更新していて、女性は世界第2位、男性は世界第3位と世界的にみても日本は長寿国になります。
この年齢は平均寿命ということで、最後の方は人の手を借りて介護や看護がなければ生きることが難しくなります。
それに対して、介護や看護に頼らずに、自立した生活をおくり、自身で生命を維持できていて、日常生活に制限のない期間を健康寿命と言います。
日本人の健康寿命は女性が74.79歳、男性が72.14歳になり、この年齢以降は、日常生活に支障が出てきて、介護や看護が必要な年齢になります。
厚生労働省 資料「平均寿命と健康寿命をみる0416」より
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/dl/chiiki-gyousei_03_02.pdf
平均寿命と健康寿命の差が、日常生活に制限があり、不健康な期間、つまり、介護や看護が必要な期間を表していて、女性は12.47年、男性では8.95年になります。
要介護になる平均的な年齢
日常生活に何らかの支障がでてきて、介護や看護が必要になる健康寿命は女性が74.79歳、男性が72.14歳になりますが、要介護の認定を受ける人の割合に大きく変化が現れる年齢も健康寿命にほぼ合致しています。
内閣府資料 高齢期の暮らしの動向(2)より
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_2.html
要支援、要介護の認定を受けた人を年代別に比べると、65~74歳で要支援の認定を受けた人は1.4%、要介護の認定を受けた人は2.95%ですが、75歳以上だと、要支援が9.0%、要介護が23.5%と75歳を超えると要介護が後の認定を受ける人が増えていることが分かります。
生活状況や身体状況により違いがありますが、要介護になる平均的な年齢は、75歳以上で、目安になる年齢は健康寿命でもある女性が74.79歳、男性が72.14歳になります。
要介護になる原因
要介護になる原因は、脳疾患やガンなどの病気から転倒などによる骨折などがありますが、一番多い原因は認知症になります。
内閣府資料 高齢期の暮らしの動向(2)より
https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2018/html/zenbun/s1_2_2.html
上のグラフから、男女あわせた要介護になる原因で一番多いのは、認知症の18.7%で次に多いのが、脳卒中などの脳疾患の15.1%になります。
以下の順番は、高齢による衰弱、転倒などによる骨折、関節疾患の順番になります。
これら以外には、パーキンソン病や糖尿病、ガンや呼吸器疾患、視覚や聴覚障害などの原因もあります。
ただ、要介護になる原因は、男性、女性それぞれ少しづつ様子が違っています。
男性が要介護になる原因
上のグラフより、男性が要介護になる原因をまとめると以下のようになります。
※その他・不明・不詳の割合は除いています。
1位:脳卒中などの脳血管疾患
2位:認知症
3位:高齢による衰弱
4位:転倒などによる骨折
5位:心臓病などの心疾患・関節疾患
女性が要介護になる原因
上のグラフより、女性が要介護になる原因をまとめると以下のようになります。
※その他・不明・不詳の割合は除いています。
1位:認知症
2位:高齢による衰弱
3位:転倒などによる骨折
4位:関節疾患
5位:脳卒中などの脳血管疾患
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介護にかかる費用
介護にかかる費用ですが、介護にかかる平均的な期間と月々にかかる平均的な金額からおおよそ費用を計算することができます。
平均寿命と健康寿命の差が、単純に介護や看護が必要な期間を表していて、女性は12.47年(150ヶ月)、男性では8.95年(108ヶ月)になります。
これらの数値はあくまで統計上の数字であって、実際、介護が必要な平均期間は、4年11ヶ月(59ヶ月)と言われているので、59ヶ月で介護にかかる費用を計算してみますね。
介護に必要な住宅改修、介護用ベットの購入などの一時的な費用が平均80万円、月々にかかる費用が平均79,000円になります。
計算すると、59ヶ月×79,000円=約466万円で、一時金の80万円を足すと546万円になり、一人当たり介護にかかる費用は約550万円になり、夫婦2人だと約1,100万円が必要になってきます。
介護費用は年金でまかなえる!?
内閣府が行った介護にかかる費用についての意識調査によると、介護にかかる費用は年金などの収入でまかなうと考えている人が全体に6割を超えていて、次に多いのが貯蓄でまかなうと考えている人が2割になり、8割の人が年金と貯蓄でまかなえると考えています。
年金の平均受給月額は、男性で16万5668円、女性は10万3026円ですので、月々にかかる介護の費用79,000円を差し引くと、年金だけでは介護費用をまかなえず、貯蓄を取り崩していくことになります。
近年では、公的な介護保険を補完できる民間介護保険が発売されています。
民間の介護保険は、決められた介護状態になったときに給付金が受け取れる保険で、貯蓄型や掛け捨て型、終身型や定期型など、生命保険と同じようにさまざまな種類があります。
保険金の給付条件は、公的介護保険の要介護認定に連動している商品と、寝たきり、認知症による見当識障害など、所定の状態が続いているときに給付される商品があります。
また、特定疾病、所定の介護状態になり、働けなくなった、介護費用などの支出が増えたときに、保険料の払い込みが免除される保険料払込特約があります。
この特約を付けておくと、以後の保険料の支払いは不要になるけれど、保証は継続されるので、民間介護保険を考えるときはお勧めです。
ここまで、要介護が必要になる年齢や原因、介護にかかる費用などについてみてきました。
まずは、両親がどれくらいの貯蓄があるのか、どのような保険に加入しているのかなどを確認しながら、自宅での介護か施設での介護かなど、どのような介護を望んでいるのかを事前に話し合いをすることが重要になります。
要介護になる平均的な年齢を知ることで、事前に介護に対する両親の意向を確認して、資金の準備を進めることができるようになるので安心ですね。
今回は「要介護になる平均年齢や介護にかかる費用」について紹介してきましたが、
「介護のために離職」についても以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。
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