介護保険の世帯分離は違法?それとも合法?世帯分離のメリットデメリットを詳しく解説!

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世帯分離とは、同居しながら世帯だけを分けることで、世帯の収入金額を下げて介護保険料が節約できるということで話題になっている手続きです。

 

世帯分離することで、医療費用や介護にかかる費用の負担を軽減できるというメリットはありますが、医療費控除が受けられなくなるなどのデメリットもあります。

 

 

厚生労働省では、世帯分離は”違法”という認識はないようですが、問題点もいくつかあります。

 

この記事では、世帯分離の手順、世帯分離のメリットデメリット、世帯分離の注意点など、世帯分離について詳しく解説しています。

 

記事を最後まで読んで頂いてから世帯分離を行うかどうかの判断をするようにしてくださいね。

 

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世帯分離とは?

世帯とは、独立して単身で生計を立てる、もしくは住居と生計を共にしている人の集まりのことで、世帯の中心になって物事をとりはかる人を世帯主と言います。

 

ですので、日本で暮らしている人はいづれかの世帯に属していることになります。

 

単身者であれば、その人が世帯主になり、夫婦であれば、夫が世帯主で妻はその世帯に属しているということになります。

 

また、子供の家族と父母が同居している場合は、子供さんが世帯主になり、父母はその世帯に属しているということです。

 

このように同じ住居で家計も一緒にしている世帯を同一世帯といい、同じ住居に住んでいながら生計を別々に分けている場合は、別世帯(同住所別世帯)になります。

 

介護保険でいう世帯分離とは世帯を分離して、別々の世帯にする届け出を行い、別世帯(同住所別世帯)にすることです。

 

世帯分離の手順

世帯分離の手順は、市区町村の窓口で「住民異動届」に必要事項を記入して手続きを行います。

 

例えば、世帯主が長男さんで、世帯分離をするのが父母の場合ですと、手続きをするのは父母になります。

 

その際に、窓口で世帯の生計や生活について口頭で確認されますのでキチンと答えるようにしてください。

 

また、本人確認書類、国民健康保険に加入している人は国民健康保険被保険者証、本人が窓口にいけない場合は委任状が必要になります。

 

ただ、同一世帯である夫婦は民法の規定で世帯分離をすることができないので注意してください。

 

【手続きに必要なもの】

・印鑑
・身分証明書
・マイナンバーカード
・国民健康保険証
・後期高齢者医療保険証
・介護費保険被保険者証

 

世帯分離のメリットデメリット

世帯分離をすることで、世帯全体の収入を下げることができるようになり、介護保険の費用を軽減できるメリットはあります。

 

ですが、世帯を分離することで、役所での手続きに委任状が必要になるなどのデメリットもあります。

 

ここからは、世帯分離のメリットデメリットについてそれぞれみていきます。

 

世帯分離のメリット

世帯分離のメリットは以下の4点になります。

 

1:世帯収入が下がることで介護保険費用を軽減できる可能性がある

 

2:世帯収入が下がることで後期高齢者医療保険料を軽減できる可能性がある

 

3:世帯収入が下がることで、入院や介護施設入所時の食費や居住費などを軽減できる可能性がある

 

4:世帯収入が下がることで国民健康保険料を軽減できる可能性がある

 

このように介護保険料や後期高齢者医療保険料、入院、介護施設入所時の食費や居住費、国民健康保険料の金額算定基準が”世帯の収入”になっています。

 

ですので、世帯分離をすることで、世帯全体の収入が下がり、費用の軽減ができる恩恵を受けることができるようになります。

 

世帯分離のデメリット

世帯分離のデメリットは以下の5点になります。

 

1:高額介護サービス費や高額介護・高額医療合算制度が利用できなくなる

 

2:扶養から外れるので、扶養手当や家族手当などがなくなる

 

3:扶養から外れるので、年末調整の所得控除ができなくなる

 

4:扶養から外れるので、健康保険などの保険料を負担することになる

 

5:世帯分離をすることで、家族でも別世帯になり、手続きに委任状が必要になる

 

このように世帯分離をすることで、扶養から外れることになり、それまで受けることができた恩恵を受けることができなくなります。

 

世帯分離がおススメではないケース

 

世帯分離のメリットデメリットについて解説しましたが、世帯分離がおススメではないケースもあります。

世帯分離を検討されている方は、慎重に判断するようにしてみてください。

 

【世帯分離後に世帯が高齢者1人になってしまう】

 

世帯分離後に父親もしくは母親1人になってしまう場合、何らかの事情で行政手続きを行うときに支障があることがあります。

 

例えば、住民票を取得する場合、2人以上の世帯であれば他の家族が代理で窓口に行けば取得することは可能です。

 

世帯分離により高齢者1人になってしまうと、家族がいなくなるので、行政手続きを家族が行うことができなくなり、手続きに本人の委任状が必要になります。

 

本人自身が窓口まで行くことができ、手続きをすることができる間は問題はありません。

 

しかし、「窓口まで行けない」、「言葉で意思を伝えられない」、「文字が書けない」などの状況になった場合、行政手続きができないということにもなりかねません。

 

【世帯で収入があるのが1人になってしまう】

 

世帯分離後に収入がある人が1人になってしまうと、世帯分離後の片方は無収入の世帯になってしまいます。

 

世帯分離前に国民健康保険に加入している場合、月々の保険料が上がってしまうこともあるのです。

 

ただ、無収入になるということで、国民健康保険料は軽減される可能性はありますが、負担が増えることには変わりはありません。

 

ですので、「無収入だから世帯分離をすれば負担は軽減される」と考えず、逆に負担が増える可能性もあるので、事前に試算をすることが重要になります。

 

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世帯分離を行う上での注意点

世帯分離を行う上で注意することは、市区町村の窓口で断られることもあるということです。

 

世帯分離を行うことで介護保険料の負担を軽減できるということは、市区町村に入ってくる保険料額も減るということになります。

 

入ってくる介護保険料額が減ってしまうと、他の税金からその金額分を補填する必要があり、市区町村の財政を圧迫することにもなりかねません。

 

また、総務省も「生計を分けずに社会保障の負担を軽減するための世帯分離は適切ではない」というコメントも発表しています。

 

市区町村によっては台所やトイレが別々か、電気やガスなどの料金を分けているかなど、キチンと生計が分かれているかを、申請の段階で細かくチェックしているところもあります。

 

ただ、現状は、「特段の確認は行わなずに受理」、「口頭で生計が別だと確認出来た場合のみ受理」など、市区町村の対応もバラバラで統一はされていません。

 

とはいえ、状況によっては受理されずに断られることもありますので、注意が必要です。

 

ここまで、世帯分離の手順、世帯分離のメリットデメリット、世帯分離の注意点など、世帯分離について解説してきました。

 

世帯分離は”違法”ではないので、介護保険料を節約できるというメリットを最大限に生かすのも良いのですが、医療費控除が受けられなくなるなどのデメリットもあるので、世帯分離を行うかどうかは慎重に判断してから行うようにしてくださいね。

 

 

今回は「世帯分離のメリットデメリット」について紹介してきましたが、
「住所地以外でも介護保険を使った住宅改修はできるの?」についても
以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。

 

⇒住所地以外でも介護保険を使った住宅改修はできるの?住民票と支給要件の関係とは

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