
目 次
介護保険を使って介護サービスを利用するには、介護保険被保険者証と介護保険負担割合証が必要になります。
介護保険被保険者証は65歳になると、市区町村役場から自動的に送られてきますが、介護保険負担割合証はいつ、どのような時期に送られてくるのか、知っている人はそう多くはありません。
また、介護保険負担割合証には、自己負担割合が記載されているのですが、負担割合を決める基準について知っている人もそう多くはありません。
そこで今回は、介護保険の負担割合証、改正された負担割合、負担割合を決める所得など、介護保険の負担割合についてみていくことにします。
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負担割合証とは
負担割合証とは介護保険負担割合証のことで、毎年6月から7月に要介護や要支援の介護認定を受けた人に、市区町村から負担割合が書かれた介護保険負担割合証が交付されます。
医療機関で健康保険を使って診察を受けた場合、2割負担、3割負担と医療費の一部を自己負担しますが、介護保険も同様に介護保険負担割合証に記載された負担の割合に応じて費用の一部を負担します。
介護保険の負担割合は、年齢や介護の度合いで区分されているものではなく、個人や世帯の所得によって、各々に負担の割合が決められます。
介護保険は2000年(平成12年)に施行されてから3年ごとに制度が改正されているのですが、高齢者が年々増加してきている中で、保険料と税金では追いつかなくなり、国の財政状況が悪化していて、定期的に介護保険の負担割合も見直されています。
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介護保険の負担割合が変わった!
2018年(平成30年)8月1日から、65歳以上の第1号被保険者で現役なみの所得がある人は、介護保険の負担割合が3割に変わりました。
介護保険も医療保険と同じように、介護サービスを利用するときには、その費用の一定割合を負担する必要があります。
これまでの利用負担割合は、基本的には1割で、一定の収入がある人は2割を負担することになっていましたが、2018年(平成30年)8月からは、65歳以上の第1号被保険者で現役なみの所得がある人は、3割を負担しなければならなくなりました。
現役なみの所得ってどのくらい?
国が決めている現役なみの所得は、合計所得が220万円以上のことで、この金額を超えると3割負担になります。
しかし、合計所得が220万円以上あっても、年金収入とその他の合計所得の合計が、単身で340万円、2人以上の世帯だと463万円未満だと、2割負担もしくは1割負担になります。
合計所得とは
合計所得とその他の合計所得と言われても、いまいちピンとこないのでもう少し調べてみました。
合計所得とは、会社勤めをしている人は会社から支払われる給料、事業をしている人は事業による収入など、すべての所得の合計のことです。
そのすべての所得から健康保険や公的年金などの控除、給与所得の控除など、必要経費を控除をしたあとの額が、ここでいう合計所得になりますが、この合計所得には年金の収入は含まれていません。
つまり、年金とは別に収入があって、その収入が年間に220万円未満、月に直すと183,333円以内であれば3割負担にはなりません。
その他の合計所得とは
その他の合計所得とは、合計所得から年金の雑所得を除いた所得金額のことです。
例えば、年間に300万円(年に6回支払われるので1回あたり50万円)の年金収入がある65歳の人だと、年金控除額は年金収入金額300万円-120万円になり、控除後の所得は180万円になります。
この場合だと、年金以外に220万円以上の合計所得があっても、2人以上の世帯だと463万円未満になるので、負担割合は2割負担で済みます。
【参考例】65歳の夫婦2人世帯で、年金収入が300万円、合計所得が220万円だとします。
合計所得 220万円 + (年金収入 300万円ー年金控除額 120万円)= 400万円 < 463万円未満(2人以上の世帯)
以下に、厚生年金や国民年金などの公的年金の雑所得を計算するときに使う公的年金控除額の表を載せておきますので参考にしてみてください。
公的年金等所得金額の算出(65歳未満の人) | 公的年金等所得金額の算出(65歳以上の人) | ||
公的年金等収入金額の合計額 | 公的年金等所得金額 | 公的年金等収入金額の合計額 | 公的年金等所得金額 |
70万円未満 | 0円 | 120万円未満 | 0円 |
70万円以上130万円未満 | 収入金額-70万円 | 120万円以上330万円未満 | 収入金額-120万円 |
130万円以上410万円未満 | 収入金額×75%-37万5千円 | 330万円以上410万円未満 | 収入金額×75%-37万5千円 |
410万円以上770万円未満 | 収入金額×85%-78万5千円 | 410万円以上770万円未満 | 収入金額×85%-78万5千円 |
770万円以上 | 収入金額×95%-155万5千円 | 770万円以上 | 収入金額×95%-155万5千円 |
40歳から64歳までの第2号被保険者の負担割合はどうなる
2018年(平成30年)8月から、65歳以上の第1号被保険者で現役なみの所得がある人は、介護保険の負担割合が3割に変わりましたが、40歳から64歳までの第2号被保険者の人の負担割合は1割負担のままで、今回の負担割合の制度改正には関係がありません。
第2号被保険者の人以外にも、市区町村民税非課税の人、生活保護費を受給している人の負担割合は1割負担のままで、今回の負担割合の制度改正には関係がありません。
まとめ
ここまで、介護保険の負担割合証、改正された負担割合、負担割合を決める所得など、介護保険の負担割合についてみてきました。
介護サービスを利用するときには、介護保険負担割合証、介護保険被保険者証、の2枚を提出する必要があるので、くれぐれも無くさないようにしてください。
また、介護保険にかかるお金は、当初、私たちが納める介護保険料が45%で残り45%を国や県、市などの自治体が負担していて、残りの10%を利用者が負担するという仕組みでスタートしました。
しかし、これまでの制度改正で利用者の負担割合は徐々に増えてきていて、さらに介護保険料も徐々に増えてきています。
これは介護保険を利用する高齢者が増えてきていて財源不足によるため、仕方がないことなのでしょうが、今後、ますます増えていくことが予想されているので、次回の制度改正がある2021年には負担割合は再度見直される可能性が高いのではないでしょうか。
年金を受給できる年齢が引き上げられて、さらに介護保険料の増加、介護保険の利用者負担の増加と考えると、老後のお金が気になってしまいます。
今回は「介護保険の負担割合」について紹介してきましたが、
「介護保険が払えないときの滞納と減額」についても以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。
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