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基本チェックリストとは、要支援や要介護といった介護認定を受けなくても、介護予防や日常生活支援などの必要なサービスが受けられるようにするための本人の状況を確認するツールになります。
運動、栄養、口腔、閉じこもり、認知、うつなどの本人の現状を確認するために25項目の質問が用意されています。
地区保健福祉センター等に生活支援等の相談に来た人に対して行うもので、基本チェックリストへの記入は職員の人でも本人であっても記入することができます。
基本チェックリストに記入、相談することで、介護認定を受けていなくても必要な介護予防や生活支援のサービスがすぐに受けられるので、そのメリットは大きいですね。
この記事では、基本チェックリストの内容や対象者、考え方やポイントなど、基本チェックリストについて詳しく解説しています。
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基本チェックリストとは
基本チェックリストとは、要支援や要介護といった介護認定を受けなくても、介護予防や日常生活支援などの必要なサービスが受けられるようにするための本人の状況を確認するツールになります。
基本チェックリストは、厚生労働省が作成していて、全国の自治体で活用されています。
基本チェックリストには25の質問項目があり、利用者本人の状況を確認し、面談で希望なども聞きながら、その人に必要な予防介護や生活支援サービスが利用できるようにするためのものになります。
当初は介護認定を受けていないと、介護予防や生活支援などのサービスを利用することができなかったのですが、基本チェックリストを利用することで、すぐに利用者が必要なサービスが受けられるのが最大のメリットになります。
介護認定の流れについては、こちら↓の記事で解説していますので、参考にしてください。
⇒【介護認定の流れはどうなってるの?認定を受けるまでの手続きと流れを徹底解説】
基本チェックリストの対象者
基本チェックリストの対象者は、今は元気で日常生活を送っている人が要支援になったり、要介護になる可能性が高い65歳以上の高齢者になります。
介護保険で提供されているサービスは、介護予防や生活支援で、事前に介護状態にならないように予防をしたり、介護度が悪化しないように現状維持できるようにするためのものですので、基本チェックリストの対象者は幅広い人が対象になります。
基本チェックリストの考え方
基本チェックリストは、質問の主旨を説明しながら、理解してもらってから職員が記入するのが基本になります。
ただ、気をつけたいのは、習慣について問うている質問などで、聞き取りをしている職員の人の先入観で記入しないことで、あくまで本人の主観で記入することが大切です。
また、期間について定められていない質問は、現在の状況で回答するようにしてください。
中には、少し不安があるのに強がって、自分はまだ出来ると回答する人がいるかもしれませんが、強がらずに自分の状況について客観的に判断することが大切です。
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基本チェックリストの内容
基本チェックリストには25の質問項目があり、「日常生活動作」「運動」、「栄養」、「口腔」、「閉じこもり」、「認知」、「うつ」の大きく7つに分けられます。
【質問項目1~5】日常生活関連動作について
1:バスや電車で 1 人で外出していますか
→付き添い無しで1人で外出しているかの質問で、
タクシーの利用、自転車や自動車などの運転による外出も含まれます。
2:日用品の買物をしていますか
→自分で外出して、食料品などの買い物に行っているかの質問で、
電話などで注文は「いいえ」になります。
3:預貯金の出し入れをしていますか
→ATMや銀行窓口を含めて、自分で預貯金の出し入れをしているかの質問で、
家族に依頼している場合は「いいえ」になります。
4:友人の家を訪ねていますか
→友人や兄弟、家族や親戚の家を訪れているかの質問で、
電話などでの交流は「いいえ」になります。
5:家族や友人の相談にのっていますか
→家族や友人、知人の相談にのっているかの質問で、
電話で相談にのっている場合も含まれます。
【質問項目6~10】運動機能について
6:階段を手すりや壁をつたわらずに昇っていますか
→階段を手すりや壁をつたわらずに昇れるかの質問で、
時々、手すりを使う程度は「はい」になりますが、
手すりを使わずに昇れても、習慣的に手すりを使っている場合は、
「いいえ」になります。
7:椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっていますか
→椅子に座った状態から何もつかまらずに立ち上がっているかの質問で、
時々、何かにつかまって立ち上がる場合は「はい」になりますが、
何もつかまらずに立ち上がれても習慣的に何かにつかまっている場合は、
「いいえ」になります。
8:15分位続けて歩いていますか
→15分間続けて歩くことができているかの質問で、
屋内や屋外、杖の有無は関係ありません。
9:この 1 年間に転んだことがありますか
→直近の1年間で転んだことがあるかの質問で、
頻度や回数ではなく、転んだことがある火の事実確認になります。
10:転倒に対する不安は大きいですか
→現在、転倒に対する不安についての質問で、
本人の主観に基づいて回答してもらいます。
【質問項目11~12】低栄養について
11:6ヶ月間で 2~3kg 以上の体重減少がありましたか
→6ヶ月間で2~3kg以上の体重減少があったかの質問で、
6ヶ月以上で2~3kg以上の体重減少は「いいえ」になります。
12:身長・体重・BMI
→体重は1ヶ月以内の数値、身長は過去に計測した数値でも大丈夫で。
よくわからない場合は、本人が言う数値を記入しますが、
まったくわからない場合は「未記入」でも大丈夫です。
※BMIの計算はカシオが運営しているこちらのサイトが便利です。
【質問項目13~15】口腔機能について
13:半年前に比べて固いものが食べにくくなりましたか
→半年前と比べて固いものが食べにくくなったかの質問で、
半年以上前から固いものが食べにくくなっていて、
その状態が変わっていない場合は「いいえ」になります。
14:お茶や汁物等でむせることがありますか
→お茶や汁物等を飲むときに、むせることがあるかの質問で、
本人の主観に基づいて回答してもらいます。
15:口の渇きが気になりますか
→口の中の渇きが気になるかの質問で、
本人の主観に基づいて回答してもらいます。
【質問項目16~17】閉じこもりについて
16:週に1回以上は外出していますか
→1週間にに1回以上、何かしらの目的をもって外出するかの質問で、
通院や買い物、交流などが対象になります。
週によって外出する回数が違うときは、過去1ヶ月の外出回数を平均して
週1回以上外出している場合は「はい」で大丈夫です。
17:昨年と比べて外出の回数が減っていますか
→1年前と比べて、現在の外出回数が減っているかの質問で、
本人の主観に基づいて回答してもらいます。
【質問項目18~20】認知症について
18:周りの人から「いつも同じ事を聞く」など物忘れがあると言われますか
→周りの人からもの忘れがあると言われるかの質問で。
本人がもの忘れがあると思っていても、周りの人からの指摘がなければ
「いいえ」で大丈夫です。
19:自分で電話番号を調べて、電話をかけることをしていますか
→何らかの方法で、自分で電話番号を調べて、電話をかけられるかの質問で、
誰かに電話番号を調べてもらったり、聞いたりしている場合は「いいえ」になります。
また、誰かに電話をかけてもらって会話をするだけの場合も「いいえ」になります。
20:今日が何月何日かわからない時がありますか
→今日が何月何日かわからない時があるかの質問で、
本人の主観に基づいて回答してもらいますが、
月と日の片方しかわからない場合は「はい」になります。
【質問項目21~25】うつについて
注意:うつについての質問は、ここ2週間の間についての質問になります。
21:毎日の生活に充実感がない
→ここ2週間、生活への充実感が感じられなくなり、理由もなく不安を感じている状態で、
「憂鬱だ」、「悲しい」、「何の希望もない」、「落ち込んでいる」という気持ちが
続いているかの質問になります。
22:これまで楽しんでやれていたことが楽しめなくなった
→ここ2週間、これまで楽しんできた趣味や活動に興味を感じられなくなり、
楽しめなくなったり、「何をしても面白くない」、「友達と会って
話すのが好きだったのに、会っても楽しくなく、かえってうっとおしい」、
「テレビでスポーツやドラマを見ても面白くない」、
「音楽が好きだったのに、好きな音楽を聴いても全く感動しない」という
状態になっているかの質問になります。
23:以前は楽にできていたことが今ではおっくうに感じられる
→ここ2週間、特に理由もなく、「何かをしよう」という気持ちが起きなく
なっている状態で、着替えや入浴、食事といった日常的なことに対しても
やる気が起きず、時間がかかるようになったかどうかの質問です。
24:自分が役に立つ人間だと思えない
→ここ2週間、根拠なく自分を責めたり、過去の些細な出来事を思い出しては
悩んだりする状態で、ひとつのことをくよくよ考え込んで、
何回も他の人に確認してしまったり、悪いことが起こるのは自分のせいだと
感じるようになっているかの質問です。
25:わけもなく疲れたような感じがする
→ここ2週間、あまり体を動かしてないのにすごく疲れたり、
体が重く感じられたりする状態かどうかの質問になります。
疲れを感じているハッキリした理由があるときは、「いいえ」で大丈夫です。
ここまで、25項目についての内容についてわかったと思いますが、7つにわけられた「日常生活動作」「運動」、「栄養」、「口腔」、「閉じこもり」、「認知」、「うつ」について、それぞれ該当した項目数についての判断基準をみていきます。
基本チェックリストのポイント
25項目について、「はい」、「いいえ」で回答していくのですが、「はい」と答えた数によって、今後、要介護状態等になる可能性が高いと判断されます。
以下は、要介護状態等になる可能性が高いと判断するための7つの基準になります。
①質問項目1~20までの20項目のうち10項目以上に該当する
②質問項目6~10までの5項目のうち3項目以上に該当する
③質問項目11~12までの2項目のすべてに該当する
④質問項目13~15までの3項目のうち2項目以上に該当する
⑤質問項目16~17までの2項目のうち16に該当する
⑥質問項目18~20までの3項目のうちいづれか1項目以上に該当する
⑦質問項目21~25までの5項目のうち2項目以上に該当する
①から⑦のうち、いづれか1つに該当した場合は、要介護状態等になる可能性が高いと判断されますので注意が必要です。
ここまで、基本チェックリストの内容や対象者、考え方やポイントなど、基本チェックリストについて解説してきました。
基本チェックリストは、厚生労働省が作成していて、全国の自治体で活用されていて、要支援や要介護といった介護認定を受けなくても、介護予防や日常生活支援などの必要なサービスが受けられるようにするための本人の状況を確認するツールになります。
基本チェックリストを使えば、迅速に本人の現状を把握することができ、必要な予防介護や生活支援のサービスを利用できるようになるので、必要であれば積極的に利用するようにしてください。
また、基本チェックリストを使って、親御さんや自分自身の現在の状態を把握することができるので、そのような目的で使ってみるのもいいですね。
今回は「基本チェックリスト」について紹介してきましたが、
「介護認定調査で要介護度を下げない裏技」についても
以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。
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