
目 次
介護サービスの中に福祉用具のレンタルと販売がありますが、一定の福祉用具には、介護保険が適用されるものがあり、手すりもその対象になっています。
住宅改修で手すりの取付け工事は、介護保険の給付対象になっていて、私も毎日のように工事を行っていますが、状況によっては手すりの取付けができない場所もあります。
そのようなときに、福祉用具の手すりを使えば設置が可能になることがあります。
そこで、今回は、福祉用具とは、福祉用具のレンタルと販売、福祉用具の種類、福祉用具の手すりの種類やメリットデメリットなど、福祉用具の手すりについてみていきます。
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福祉用具とは
福祉用具とは、高齢者や傷病者、障害者の生活や介護、介助を支援するための用具や機器のことで、一部の福祉用具には、介護保険が適用されるものがあります。
福祉用具は大きく分けると、歩行や移動の補助、住まいでの生活補助、トイレでの排泄補助、入浴の補助をする用具や機器になります。
具体的な福祉用具には、以下のような用具や機器になります。
【歩行や移動の補助】:車いす、歩行器、杖などがあります。
【住まいでの生活補助】:手すり、スロープ、認知症老人徘徊感知機器、
特殊寝台、階段昇降機などがあります。
【トイレでの排泄補助】:腰掛け便座、ポータブルトイレ 、特殊尿器、採尿器、
洋式トイレ用手すりなどがあります。
【入浴の補助】:入浴用いす、浴槽内いす、浴槽用手すり、浴室内手すり、
浴槽内すのこ、入浴台 などがあります。
福祉用具はレンタルと販売がある
一部の福祉用具には介護保険が適用されるのですが、介護保険を使って福祉用具を利用するにはレンタルと販売の2つの方法があります。
福祉用具はレンタルでの利用が基本になるのですが、排泄や入浴などレンタルになじまない福祉用具については販売での利用になります。
介護保険が適用される福祉用具を利用するには、介護認定を受けて、要支援1から要介護5まで7段階ある介護度のいづれかの判定を受けておく必要があります。
福祉用具のレンタル
福祉用具のレンタルは、要支援1・2、要介護1の人がレンタルできる福祉用具を「介護予防福祉用具貸与」、要介護2から5の人がレンタルできる福祉用具を「福祉用具貸与」と言います。
レンタルできる福祉用具は、13品目が対象で、介護の度合いによってレンタルできる福祉用具が変わります。
要支援1・2、要介護1の人がレンタルできる福祉用具
要支援1・2、要介護1の人がレンタルできる福祉用具は、以下の5品目になります。
・手すり(取付けに工事を行わないもの)
・スロープ(取付けに工事を行わないもの)
・歩行器
・歩行補助つえ
・自動排泄処理装置(排便機能が無いもの)
これらの介護予防福祉用具貸与にあたる福祉用具は、レンタル事業者からレンタルして、レンタル料の1割(所得により2もしくは3割)を利用者が自己負担します。
要介護2から5の人がレンタルできる福祉用具
要介護2から5の人がレンタルできる福祉用具は、以下の13品目になります。
・車いす
・車いす付属品
・特殊寝台
・特殊寝台付属品
・床ずれ防止用具
・体位変換器
・手すり(取付けに工事を行わないもの)
・スロープ(取付けに工事を行わないもの)
・歩行器
・歩行補助つえ
・認知症老人徘徊感知機器
・移動用リフト(つり具部分を除く)
・自動排泄処理装置(排便機能が無いもの)
※排便機能が有るものは、要介護4または5の人のみレンタル可能)
これらの福祉用具貸与にあたる福祉用具は、レンタル事業者からレンタルして、レンタル料の1割(所得により2割もしくは3割)を利用者が自己負担します。
福祉用具の販売
福祉用具の販売は、正式には特定福祉用具販売と言われていて、介護保険から福祉用具購入費用の支給を受けることができます。
販売の対象になっている福祉用具は、以下の5品目になります。
・腰掛け便座
・自動排泄処理装置の交換可能部品
・入浴補助用具
・簡易浴槽
・移動用リフトのつり具部分
これらの特定福祉用具販売にあたる福祉用具は、利用者が一旦全額を支払うのですが、後から費用の9割(所得により8割もしくは7割)が介護保険から払い戻される償還払い(しょうかんばらい)という支払い方法になります。
また、販売事業者によっては、購入費用の自己負担分にあたる1割(所得により2割もしくは3割)だけを利用者が支払い、後から残りの費用の9割(所得により8割もしくは7割)が介護保険から事業者に振込まれる受領委任払い(ずりょういにんばらい)という方法が使えるところもあります。
また、特定福祉用具販売で1年に利用できる支給限度額は10万円と決まっていて、10万円を超えた分については全額自己負担になるので、注意してください。
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福祉用具の手すり
ここまで、福祉用具全般についてみてきましたが、ここからは、福祉用具の手すりについてみていきます。
福祉用具の手すりは、立ち上がり動作の補助や方向転換の手助け、歩行中の姿勢を保ち、転倒を予防する目的があり、工事をする必要がなく、簡単に取り付けられるという特徴があります。
福祉用具の手すりの種類
福祉用具の手すりの種類は、トイレの立座り、廊下の伝い歩き、玄関の上がり降り、ベットや布団からの起き上がりなどを補助する手すりがあります。
具体的には、据え置き型、突っ張り型に分けられます。
据え置き型
据え置き型は、台付になっている手すりを床に置くだけで設置できるタイプの手すりになります。
使い方としては、ベットやふとんの側に置いて、立ち上がりを補助したり、ステップ付の手すりだと、玄関や掃き出し窓付近に置いて、玄関や掃き出し窓からの出入りを補助してくれます。
他にも、洋式便器の側に置いて、便器の立座りの動作を補助してくれる手すりもあります。
これらの手すりは、1割負担だと1個あたりおよそ月額200円から500円程度で利用することができます。
月額の負担額は、所得により料金が変わりますので、注意してください。
突っ張り型
突っ張り型は、棒状の手すりを床と天井の間で突っ張り棒のように設置するタイプになります。
使い方は、壁が無い場所や窓や扉があって手すりが設置できない場所でも設置できるという特徴があり、縦手すりとして利用するだけでなく、連続して縦方向に設置した突っ張り型の間に、横方向のバー型の手すりを取りつけることで、壁がない場所でも横手すりとして利用することもできます。
これらの手すりは、1割負担だと1本あたりおよそ月額300円程度で利用することができます。
月額の負担額は、所得により料金が変わりますので、注意してください。
福祉用具の手すりと住宅改修の手すり どっちがいいの?
ここまで、福祉用具の手すりについてみてきましたが、住宅改修でも取付けられる手すりと比べたときに、どっちがいいの?と思うのではないでしょうか。
福祉用具の手すりと住宅改修の手すりについて、それぞれのメリットデメリットをみていきます。
福祉用具の手すり
【メリット】
・設置する場所を選ばないので、自由な動線で設置できる
・設置位置の微調整や取外しが容易にできる
・在庫が有れば、即日、設置できる
【デメリット】
・手すりの固定に安定性が欠ける
・毎月、レンタル料が発生する
住宅改修の手すり
【メリット】
・廊下や部屋の周辺で、実際の動線に対応できる
・ネジやビスなどを使って固定するので安定性がある
・一度、住宅改修費用を負担するだけで済む
・I型やL型、T型や逆T型など、利用者の身体状況に合わせて自由に取付けられる
【デメリット】
・壁や柱がある場所でしか設置ができない
・壁の下地状況によっては設置できないことがある
・一度、取付けた手すりは取り外しての微調整が難しい
・住宅改修の申請から工事までに審査があり時間がかかる
まとめ
ここまで、福祉用具とは、福祉用具のレンタルと販売、福祉用具の種類、福祉用具の手すりの種類やメリットデメリットなど、福祉用具の手すりについてみてきました。
まとめると、以下の5点になります。
・福祉用具の一部(18品目)に介護保険が適用されるものがある
・介護保険が適用される福祉用具には、レンタルと販売が有る
・レンタル、販売ともに、費用の1割(所得により2割もしくは3割)
を負担すれば利用できる
・福祉用具の手すりには、据え置き型と突っ張り型がある
・福祉用具と住宅改修の手すりには、それぞれメリットデメリットがある
福祉用具の手すりは、工事を行わなくても取付けができて、在庫があれば即日、対応できるのですが、安定性に欠けるという欠点があります。
また、住宅改修の手すりには、ネジやビスでしっかり固定できるので安定性はありますが、役所への申請などが必要で、工事着工までに時間がかかるという欠点があります。
ですので、手すりを取付けるときは、利用者さんの身体状況、住宅の状況、緊急性を考慮しながら、ケアマネージャーさんとよく相談をして、福祉用具の手すりと住宅改修の手すりの良いところを組み合わせながら利用するようにしてください。
今回は「福祉用具の手すりの種類、メリットデメリット」について紹介してきましたが、
「住宅改修で取付ける手すりの種類と選びかた」についても以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。
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