介護保険を使った住宅改修で玄関にスロープを設置する費用と手順 設置できないときはどうするの?

目安時間:約 9分
介護 保険 住宅 改修 玄関 スロープ

脳梗塞などの病気やケガで、突然、歩行が困難なったり、車いすでの生活になることがあります。

 

そのようなとき、玄関にスロープを設置しようとを考える人が少なくありません。

 

でも、スロープを設置しょうとしたときに、

 

「スロープを設置する費用はいくらかかるの?」

 

「スロープを造る手順は・・・」

 

「スロープを設置できないときは、どうするの?」

 

などの疑問があるのではないでしょうか。

 

この記事では、実際に施工した事例を参考にして、玄関前に設置するスロープの勾配基準、スロープを設置する費用、スロープの造りかた、スロープが設置できないときの対処方法など、玄関前に設置するスロープについてみていきます。

 

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玄関に設置するスロープの勾配と幅

玄関に設置するスロープの勾配は、勾配は1/12以下が基準で水平12に対して1上がる傾斜になり、角度だと4.8度になります。

1/12の勾配は、介助する人が女性や高齢者でも車いすを押してあがることができます。

 

例えば、玄関と地面の高低差が20cmだとすると、スロープの長さは240cm(20cm×12=240cm)必要になります。

 

また、介助用車いすの全幅が53㎝から57㎝程度で、自走用車いすの全幅は62㎝から63㎝程度になるので、玄関に設置するスロープの幅は、80㎝から85㎝くらいが必要になります。

 

また、スロープの設置する場所により直進以外に360度回転したり、直角に曲がる場合があります。

 

そのときに必要なスペースは、360度回転する場合だと150㎝×150㎝、直角に曲がる場合の幅は85㎝から90㎝が目安になります。

 

ここで挙げているスロープの勾配と幅はあくまで基準であって、この数値に必ずしなければいけないということではありません。

 

スロープを設置しようとしている場所のスペース、介助者もしくは利用者の個々の身体状況に合わせた住宅改修を行うのが有効な住宅改修になると思います。

 

玄関に設置するスロープの費用

玄関に設置するスロープの費用は、スロープの勾配や長さ、幅によって違いはありますが、おおよそで10万円から20万円くらいになります。

 

この現場は、お客様自身がDIYで作っていた木製のスロープを撤去して、新たにコンクリートでスロープを設置する内容になります。

 

・既存スロープ撤去(一部土間スキトリ含む) 1式 25,000円

 

・左官工事(スロープ土間モルタル工事)   1式 105,000円
 ※刷毛引き仕上

 

・諸経費                    1式 20,000円

 

になり、合計すると150,000円(税別)になります。

 

諸経費には、事務経費や養生などの消耗材費、撤去した既存スロープの残材処分費用も含まれています。

 

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玄関に設置するスロープの造り方

玄関に設置するスロープの作り方は、以下の流れになります。

 

今回は、先ほどの現場の流れに沿ってみていきますね。

 

【工事情報】

 

施工前 高低差33cm スロープ長さ170cm 木製

施工後 高低差33cm スロープ長さ200cm コンクリート製
※スロープ勾配 1/6 スロープ角度 9度 スロープ長さ(斜め) 203cm

介護 保険 住宅 改修 玄関 スロープ

①既存スロープの撤去

 

介護 保険 住宅 改修 玄関 スロープ

 

②コンクリー製スロープの下地

コンクリー製スロープの下地は、スロープの両側にコンクリートブロックで壁を作り、その間に砕石や砂利を敷きこんでいきます。

 

 

③スロープ上面の仕上

スロープの上面は刷毛引き仕上げという方法で、スロープの上面に細いスジをつけることで、雨などによって滑りにくくする効果があります。

 

 

④コンクリートの養生

コンクリートが硬化するまでは、スロープの上を歩くこともできません。

それまでの間は、スロープの横に設置したコンクリートブロックが仮の階段になります。

 

 

工事期間中は天候も良くて3日間で施工できましたが、コンクリートの硬化に時間がかかる冬の時期や、雨がよく降る梅雨の時期は工事期間が長くなり5日から7日くらいかかることもあります。

 

玄関前にスロープがない・・・作れない

玄関前にスロープを設置することで、車いすの出入りが楽になり、歩く場合もつまずいて転倒するリスクを減らせますが、賃貸住宅や玄関前スペースなどの問題でスロープが作れないという場合があります。

 

このようなときは、スロープをレンタルする、手すりを設置するという方法があります。

 

スロープのレンタルは介護区分に関係なく、介護認定を受けていると1割から3割の自己負担でスロープをレンタルすることができるようになります。

 

レンタルできるスロープには、スロープ長さや折りたたみ式など、さまざまな種類があります。

 

また、レンタルの良いところは、自分の家にあった使い勝手がいいものに何度も変えてもらうことができることです。

 

レンタルの費用は、長さなどによって変わりますが、1ヶ月3,000円くらいからレンタルできて、自己負担額は1ヶ月300円から900円くらいになります。

 

スロープを設置するときは、できるだけ傾斜をゆるくする必要がありますが、車いすの利用でスロープを設置する以外の場合は、手すりによって安全に階段を上がれる場合もあるので、手すりを設置することも検討してみてください。

 

まとめ

ここまで、玄関前に設置するスロープの勾配基準、スロープを設置する費用、スロープの造りかた、スロープが設置できないときの対処方法など、玄関前に設置するスロープについてみてきました。

 

まとめると、以下の4点になります。

 

玄関に設置するスロープ勾配は、1/12以下が基準になり角度は4.8度

 

玄関に設置するスロープ費用は、おおよそで10万円から20万円くらい

 

玄関に設置するスロープの工事期間は、3日から7日くらい

 

玄関前にスロープが作れないときはレンタルを利用するか、手すりを設置

 

車いすで玄関を出入りする場合は、スロープを設置しなければいけませんが、「足が悪くて玄関の階段が上がりづらい」という理由だけで、スロープを設置するまでは必要がないこともあります。

 

スロープを歩くのと、手すりを使って階段を上がるのと、どちらが利用する本人にとって安全と感じ、不安なく歩けるのかを確認してみてください。

 

また、コンクリートでスロープを設置する費用、撤去する費用も高額になるので、じっくり検討するようにしてくださいね。

 

 

今回は「住宅改修で玄関にスロープを設置する工事」について紹介してきましたが、
「住宅改修で庭に屋外手すりを設置した工事」についても以下の記事にまとめてあるので参考にどうぞ。

 

⇒介護保険を使った住宅改修で庭に屋外手すり【写真付き K様邸】

 

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